第8回
Jリートのリスクを知る
今回は、Jリートの投資リスクについて説明します。Jリートは、賃貸不動産に投資して収益を分配する投資信託という側面と、上場商品として取引される株式という側面があると説明してきました。もう少し簡単にいえば、不動産と株式としての特徴がありますから、分配金や元本は保証されていません。複数に分散投資された物件からの賃貸収入は安定しているとはいえ、テナントの入退去や賃料単価の変更に伴う不動産賃貸収益の増減などによって、Jリートの分配金は変動します。
また、Jリートは借入を行っていますので借入金利の変化などの影響を受けることもあります。Jリートは証券取引所に上場しており、株式と同様に取引されていますので、Jリート価格は常に変動し、元本は保証されていません。物件の新規投資を行う目的などで公募増資を行うことがありますが、投資口数の増加に見合う利益が確保できなければ、1口あたり分配金が減少してしまうリスク(希薄化リスク)もあります。
Jリートは、一般的な不動産会社と比較して負債比率が低いなど、保守的な財務戦略が多いのですが、2008年のリーマン・ショックの時のように、経済環境が激変して信用収縮などが生じた場合に、借入条件の大幅な悪化や、最悪の場合、破綻した例もありましたので、Jリート各社は、より保守的な財務戦略をとる傾向にあります。
投資対象不動産が物理的に毀損するリスクもあります。地震や台風等の自然災害、暴動、テロなどは、建物の崩落などの不動産の物理的毀損の要因となる事象です。Jリート各社は、このようなリスクを軽減・抑制するために、耐震性や強度のうえで一定の基準を満たした不動産に投資するなどの措置をとっています。例えば、耐震性については、まれにしか起こり得ない大地震の被害を受けた場合の損失の想定が一定水準を下回る物件のみに投資する方針が一般的です。そのかいもあり、東日本大震災の際にJリートの保有不動産が受けた被害は極めて軽微でした。